パートへの驚きと期待

定着型から流動型への雇用システムの転換、あるいは組織指向型から市場指向型への雇用システムの転換といったことがテーマとなるとき、常に念頭に置かれるのは、アメリカの雇用システムだということになる。 しかし、われわれの思考法において、「市場型」という表現は、常に「欧米型」という表現と一体となってきた。
もしそうだとすると、ヨーロッパの諸国の雇用システムはどのような意味で「市場型」であるのか。 それはアメリカ型と同等の意味で「市場型」のシステムであるのか。
いや、当然のことであるが、「欧米型」と一括できるようなシステムがあるわけでなく、それぞれに異なるタイプの「市場型」のシステムが制度化されているのか。 いや、そうではなく、先に指摘したように、「市場型」かどうかといった問題設定自体が無意味であるというべきか。
このようなことを考えるためにも、雇用パターンに観察される各国ごとの特徴、あるいは国ごとの違いについて概観することから始めよう。 「市場型」システムとは何か。
極めて短期の雇用と短期の失業。 アメリカの雇用システムが高度に流動的であることは、各国ごとの勤続年数の分布から確認できる。
10年あるいは20年以上の長期勤続者の比率の低さは予想通りだとしても、それ以上に顕著な特徴は、勤続1年未満の比率の高さである。 4人に1人以上は勤続1年未満というように、際立って短期の雇用が常態化している。
もちろんこの中には新規の学卒採用者が含まれるとしても、このことは転職がそれだけ活発であり、移動がそれだけ頻繁であることを意味している。 他方、同じ指標から見れば、日本だけでなく、ドイツとフランスもまた、長期雇用や継続雇用を特徴とするとみなしてよい。
ドイツが長期雇用を特徴とすることは周知のことではあるが、フランスもまた類似のパターンに括ることができ、他方イギリスは、どちらかというとアメリカと類似のパターンを示している。 企業統治の観点から、ドイツ、フランスを「ライン型の資本主義」、アメリカ、イギリスを「アングロ・アメリカン型の資本主義」と表現する場合がしばしばあるが、2つの違いはこのように、雇用パターンにおいても確認できる。

それらを含めて勤続1年未満の比率を短期雇用の指標、勤続20年以上を長期雇用の指標とすれば、それぞれの国を位置づけることができる。

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